ScaleWhite

観光

宿泊旅行統計の動向 — 観光庁 宿泊旅行統計調査

最終更新: 2026年3月16日

観光庁の宿泊旅行統計調査をもとに、延べ宿泊者数の推移・日本人と外国人の内訳・都道府県別動向・客室稼働率を要約・解説します。

観光庁が毎月公表する宿泊旅行統計調査の最新データを要約します。この記事では、2025年の年間値(速報値)と2026年1月の最新速報値をもとに、延べ宿泊者数の動向を解説します。

目次

宿泊旅行統計調査とは

宿泊旅行統計調査は、観光庁が全国の宿泊施設を対象に毎月実施する統計調査です。ホテル・旅館・簡易宿所などの延べ宿泊者数を日本人・外国人別に集計しており、国内の観光需要や宿泊市場の動向を把握するための基礎データとして活用されています。

主な指標は以下の通りです。

  • 延べ宿泊者数 — 宿泊施設に宿泊した人数の合計(1人が2泊すれば2人泊と計上)
  • 日本人・外国人別内訳 — 国内旅行者と訪日外国人の宿泊動向
  • 客室稼働率 — 施設タイプ別(ビジネスホテル・シティホテル・旅館等)の稼働状況
  • 都道府県別集計 — 地域ごとの宿泊需要の偏在

要点

  • 2025年の延べ宿泊者数は 6億5,348万人泊 で前年比▲0.8%とほぼ横ばい
  • 外国人宿泊者は 1億7,787万人泊 で前年比+8.2%、過去最高 を更新
  • 日本人宿泊者は 4億7,561万人泊 で前年比▲3.8%と減少傾向
  • 外国人比率は 27.2% に上昇(前年25.0%)、4人に1人以上が外国人宿泊者
  • 客室稼働率は全体 61.8%、ビジネスホテルが 75.3% で最も高い

延べ宿泊者数の推移

2019年以降の延べ宿泊者数(億人泊)の推移です。2020〜2021年はコロナ禍で大幅に減少しましたが、2023年以降は回復し、2024年に過去最高の6.59億人泊を記録しました。

全体(億人泊) 日本人(億人泊) 外国人(億人泊) 前年比 2019年比
2019年 5.96 4.81 1.16 基準年
2020年 2.93 2.71 0.22 ▲50.9% ▲50.9%
2021年 2.38 2.36 0.02 ▲18.8% ▲60.1%
2022年 3.67 3.51 0.16 +54.2% ▲38.4%
2023年 5.84 4.99 0.84 +59.0% ▲2.0%
2024年 6.59 4.87 1.64 +6.7% +10.6%
2025年 6.53 4.76 1.78 ▲0.8% +9.6%

※ 2024年は確定値、2025年は速報値(2026年2月27日公表)

月別推移(2025年)

2025年の月別延べ宿泊者数の推移です。8月がピーク(6,682万人泊)で、夏季休暇の需要が顕著です。

全体(万人泊) 日本人(万人泊) 外国人(万人泊) 前年同月比(全体)
1月 5,004 3,486 1,518 +9.6%
2月 4,833 3,503 1,330 +1.0%
3月 5,697 4,193 1,504 +3.4%
4月 5,336 3,697 1,639 +2.8%
5月 5,638 4,066 1,572 +3.7%
6月 4,921 3,597 1,324 ▲2.8%
7月 5,640 4,217 1,423 ▲1.4%
8月 6,682 5,329 1,353 +0.8%
9月 5,499 4,198 1,302 ▲0.2%
10月 6,025 4,302 1,723 +1.1%
11月 5,772 4,251 1,520 ▲0.7%
12月 5,342 3,853 1,490 ▲4.5%

※ 前半は外国人の大幅増(+13〜35%)が全体を牽引。6月以降は外国人の伸びが鈍化し、日本人の減少と合わせて前年割れの月が増加

最新月次データ(2026年1月 第1次速報値)

指標 数値 前年同月比
全体 4,628万人泊 ▲5.3%
日本人 3,308万人泊 ▲1.9%
外国人 1,320万人泊 ▲12.9%

※ 2026年2月27日公表。2026年1月調査分より宿泊施設の層化基準が「従業者数」から「客室数」に変更されており、前年との単純比較には注意が必要

外国人宿泊者の国・地域別内訳

上位10か国・地域(2025年 年間速報値)

順位 国・地域 延べ宿泊者数(万人泊) 前年比
1 中国 3,040 +20.6%
2 台湾 1,969
3 韓国 1,748
4 米国 1,729
5 香港 651
6 豪州 635
7 タイ 406
8 シンガポール 404
9 英国 340
10 カナダ 294
  • 中国が宿泊者数1位に返り咲き(前年比+20.6%)
  • 訪日外客数では韓国が1位だが、宿泊者数では中国がトップ(1人あたりの宿泊日数の差を反映)
  • タイが初めて400万人泊を超え、東南アジア市場の成長が続く

都道府県別の宿泊者数

上位8都道府県(2024年 確定値)

順位 都道府県 延べ宿泊者数(万人泊) 2019年比
1 東京都 11,035 +39.7%
2 大阪府 5,743 +21.1%
3 北海道 4,463 +20.7%
4 京都府 3,421 +11.3%
5 沖縄県 3,128 ▲4.8%
6 千葉県 2,804
7 神奈川県 2,530
8 福岡県 2,316
  • 東京都は1億1,035万人泊で他を大きく引き離す
  • 大都市圏(東京・大阪・京都)はインバウンド需要の恩恵を受け、2019年比で大幅増
  • 沖縄県は2019年比▲4.8%で、主要観光地の中では回復が遅い

客室稼働率

施設タイプ別(2025年 年間速報値)

施設タイプ 2025年 2024年 前年差
全体 61.8% 60.5% +1.3pt
旅館 38.4% 36.8% +1.6pt
リゾートホテル 56.9% 54.6% +2.3pt
ビジネスホテル 75.3% 73.9% +1.4pt
シティホテル 74.2% 72.4% +1.8pt
  • 全施設タイプで前年を上回り、稼働率は改善傾向
  • ビジネスホテルが75.3%で最も高く、出張・ビジネス需要の堅調さを反映
  • 旅館は38.4%と他タイプに比べ低水準だが、前年から+1.6pt改善

解説

外国人宿泊者の過去最高と日本人の減少

2025年の延べ宿泊者数は6億5,348万人泊で、過去最高だった2024年(6億5,906万人泊)からわずかに減少しました。内訳を見ると、外国人宿泊者は1億7,787万人泊と過去最高を更新した一方、日本人宿泊者は4億7,561万人泊で前年比▲3.8%と減少しています。外国人比率は27.2%に上昇し、宿泊市場における外国人の存在感が一段と高まっています。

訪日外客数と宿泊者数の違い

訪日外客数では韓国が946万人で国別1位ですが、宿泊者数では中国が3,040万人泊でトップです。これは1人あたりの宿泊日数の違いを反映しています。中国からの旅行者は滞在日数が長く、複数都市を周遊する傾向があるため、宿泊者数では訪日人数以上の存在感を示します。

宿泊需要の都市集中

都道府県別では東京都が1億1,035万人泊と突出しており、2位の大阪府(5,743万人泊)のほぼ2倍です。東京・大阪・京都の3都府県はいずれも2019年比で10%以上の増加を記録しており、インバウンド需要が大都市圏に集中する傾向が見られます。一方、沖縄県は2019年比▲4.8%と主要観光地の中では回復が遅れています。

2026年の動向

2026年1月の延べ宿泊者数は4,628万人泊で前年同月比▲5.3%と減少しました。ただし、2026年1月調査分より宿泊施設の層化基準が変更(従業者数→客室数)されたため、前年との単純比較には注意が必要です。旧正月の時期のずれ(2025年は1月、2026年は2月)も外国人宿泊者の減少(▲12.9%)に影響した可能性があります。

出典

当サイトの記事は公開データ・統計・レポートをもとに要約・解説したものであり、内容の正確性・完全性を保証するものではありません。正式な情報は各出典元をご確認ください。