日本政府観光局(JNTO)が毎月公表する訪日外客統計の最新データを要約します。この記事では、2025年の年間実績と2026年1月の最新推計値をもとに、訪日外客数の動向を解説します。
目次
訪日外客統計とは
訪日外客統計は、日本政府観光局(JNTO)が法務省の出入国管理統計をもとに毎月推計・公表する統計です。日本を訪れた外国人旅行者数を国・地域別に集計しており、観光政策やインバウンド市場の動向を把握するための基礎データとして活用されています。
主な指標は以下の通りです。
- 訪日外客数 — 日本を訪れた外国人の総数(観光・商用・その他を含む)
- 国・地域別内訳 — 韓国・中国・台湾・米国など主要市場別の訪日者数
- 前年同月比 — 前年の同じ月との増減率
要点
- 2025年の年間訪日外客数は 4,268万人 で、初めて4,000万人を突破し 過去最高 を更新
- 2019年(コロナ前)の3,188万人と比較して +33.9% と大幅に上回る水準
- 韓国が 946万人 で国別1位、中国が 910万人 で2位に回復
- 米国からの訪日客が 331万人 と2019年比ほぼ倍増(+92.3%)
- 2026年1月の最新推計値は 359.8万人 で、韓国・台湾・豪州が単月過去最高を記録
年間訪日外客数の推移
2015年以降の年間訪日外客数(万人)の推移です。2020〜2021年はコロナ禍で大幅に減少しましたが、2023年以降は急回復し、2025年に過去最高を更新しました。
| 年 | 訪日外客数(万人) | 前年比 | 2019年比 |
|---|---|---|---|
| 2015年 | 1,974 | +47.1% | — |
| 2016年 | 2,404 | +21.8% | — |
| 2017年 | 2,869 | +19.3% | — |
| 2018年 | 3,119 | +8.7% | — |
| 2019年 | 3,188 | +2.2% | 基準年 |
| 2020年 | 412 | ▲87.1% | ▲87.1% |
| 2021年 | 25 | ▲93.9% | ▲99.2% |
| 2022年 | 383 | +1,432% | ▲88.0% |
| 2023年 | 2,507 | +554% | ▲21.4% |
| 2024年 | 3,687 | +47.1% | +15.6% |
| 2025年 | 4,268 | +15.8% | +33.9% |
国・地域別の訪日外客数
上位国・地域(2025年 年間)
| 順位 | 国・地域 | 訪日外客数(万人) | 前年比 | 2019年比 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 韓国 | 946.0 | +7.3% | +69.4% |
| 2 | 中国 | 909.6 | +30.3% | ▲5.2% |
| 3 | 台湾 | 676.3 | +11.9% | +38.3% |
| 4 | 米国 | 330.7 | +21.4% | +92.3% |
| 5 | 香港 | 251.7 | ▲6.2% | — |
- 韓国は2019年比+69.4%と大幅増で、初めて年間900万人を超えた
- 中国は回復傾向だが、2019年の959万人にはまだ届いていない
- 米国は2019年比ほぼ倍増し、欧米市場の成長が顕著
- 豪州が105.8万人で初めて年間100万人を突破(7つ目の100万人市場)
月別推移(2025年)
2025年の月別訪日外客数の推移です。すべての月で300万人を超え、年間を通じて高水準を維持しました。
| 月 | 2025年(万人) | 2024年(万人) | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 378.2 | 268.8 | +40.8% |
| 2月 | 325.8 | 278.8 | +16.8% |
| 3月 | 349.8 | 308.2 | +13.5% |
| 4月 | 390.9 | 304.3 | +28.5% |
| 5月 | 369.4 | 304.0 | +21.5% |
| 6月 | 337.8 | 314.1 | +7.6% |
| 7月 | 343.7 | 329.3 | +4.4% |
| 8月 | 342.8 | 293.3 | +16.9% |
| 9月 | 326.7 | 287.2 | +13.8% |
| 10月 | 389.7 | 331.2 | +17.6% |
| 11月 | 351.8 | 318.7 | +10.4% |
| 12月 | 361.8 | 349.0 | +3.7% |
※ 4月(390.9万人)が年間最多。桜シーズンの需要が顕著
最新月次データ(2026年1月推計値)
| 指標 | 数値 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 訪日外客数 | 359.8万人 | ▲4.9% |
※ 2026年2月18日公表。韓国が単月で初めて110万人超(117.6万人、前年同月比+21.6%)。台湾・豪州も単月過去最高を更新
解説
4,000万人突破と過去最高の更新
2025年の訪日外客数は4,268万人となり、日本政府が掲げていた目標の4,000万人を初めて達成しました。2019年(3,188万人)と比較して約1,080万人の増加であり、コロナ前水準を大きく上回っています。すべての月で300万人を超える安定的な高水準が続きました。
市場構造の変化
コロナ前の2019年と比較すると、市場構造に大きな変化が見られます。韓国は946万人(2019年比+69.4%)と最大の市場に成長し、米国は331万人(同+92.3%)とほぼ倍増しました。一方、中国は910万人とコロナ前の959万人をまだ下回っており、完全回復には至っていません。東アジア偏重から欧米・豪州市場への多角化が進んでいます。
円安と航空路線の回復
訪日外客数の増加を後押しした要因として、円安による日本旅行の割安感があります。また、国際航空路線の回復・新規就航により、アクセスが改善されたことも寄与しています。豪州が年間100万人を初めて超えるなど、遠距離市場の拡大は航空路線の充実を反映しています。
2026年の動向
2026年1月の訪日外客数は359.8万人で、前年同月比▲4.9%とやや減少しました。ただし、韓国・台湾・豪州は単月過去最高を記録しており、市場ごとに異なる動きを見せています。旧正月の時期のずれ(2025年は1月、2026年は2月)が影響した可能性があります。