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労働

賃金構造基本統計調査 — 職種・属性別の賃金格差

最終更新: 2026年3月16日

厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和6年)から、産業別・男女別・年齢別・雇用形態別の賃金実態と格差を解説します。

厚生労働省が公表する「賃金構造基本統計調査」の令和6年(2024年)結果を要約します。この調査は常用労働者10人以上の民営事業所を対象に、産業・職種・性別・年齢・学歴・雇用形態など多角的な切り口で賃金の実態を把握する基幹統計です。

目次

要点

  • 令和6年の一般労働者の平均賃金(所定内給与額)は 330.4千円(前年比 +3.8%)で、現行の推計方法では過去最高の伸び率
  • 男女間賃金格差は男性を100とした場合 75.8(前年74.8)で、格差は縮小方向に改善
  • 女性の賃金上昇率(+4.8%)が男性(+3.5%)を上回り、格差縮小に寄与
  • 正社員と非正社員の賃金格差は 66.9(正社員=100)で、前年(67.4)からやや拡大
  • 産業別では電気・ガス・熱供給・水道業(437.5千円)が最も高く、宿泊業・飲食サービス業(269.5千円)が最も低い

賃金の推移

一般労働者の平均賃金(所定内給与額・月額)の推移です。2022年以降、賃金上昇が加速しています。

賃金(千円) 前年比 男女間格差(男=100)
2015年 304.0 +1.5% 72.2
2016年 304.0 0.0% 73.0
2017年 304.3 +0.1% 73.4
2018年 306.2 +0.6% 73.3
2019年 307.7 +0.5% 74.3
2020年 307.7 +0.6% 74.3
2021年 307.4 -0.1% 75.2
2022年 311.8 +1.4% 75.7
2023年 318.3 +2.1% 74.8
2024年 330.4 +3.8% 75.8

※ 賃金は6月分の所定内給与額(月額)。賞与・残業代を含まない

男女間賃金格差

令和6年の男女別賃金と格差の状況です。

区分 賃金(千円) 前年比
男女計 330.4 +3.8%
男性 363.1 +3.5%
女性 275.3 +4.8%
男女間格差(男=100) 75.8 +1.0pt

男女間賃金格差は長期的に縮小傾向にあり、2001年の65.3から2024年の75.8まで約10ポイント改善しています。ただし、女性の賃金は依然として男性の約76%の水準にとどまります。

年齢階級別の賃金カーブ

年齢が上がるにつれて賃金が上昇する「賃金カーブ」は、男女で大きく異なります。男性は55〜59歳でピーク(444.1千円)に達しますが、女性は45〜49歳でピーク(298.0千円)となり、上昇幅が限定的です。

年齢階級 男女計(千円) 男性(千円) 女性(千円)
~19歳 199.3 202.4 194.3
20~24歳 232.5 234.2 230.7
25~29歳 267.2 278.1 255.9
30~34歳 299.5 319.2 270.7
35~39歳 328.7 357.9 280.1
40~44歳 351.4 387.6 289.8
45~49歳 372.7 414.6 298.0
50~54歳 380.4 420.9 296.9
55~59歳 392.0 444.1 296.2
60~64歳 317.7 343.0 261.7
65~69歳 275.5 293.5 237.2

産業別の賃金

産業間の賃金差は大きく、最高の電気・ガス・熱供給・水道業(437.5千円)と最低の宿泊業・飲食サービス業(269.5千円)では約1.6倍の開きがあります。

産業 賃金(千円) 前年比
電気・ガス・熱供給・水道業 437.5 +6.7%
金融業,保険業 410.6 +4.4%
情報通信業 391.0 +2.6%
鉱業,採石業,砂利採取業 372.3 +1.5%
建設業 354.3 +3.5%
教育,学習支援業 351.2 +4.2%
製造業 322.0 +3.7%
卸売業,小売業 318.4 +3.2%
運輸業,郵便業 304.7 +3.5%
医療,福祉 303.5 +4.1%
宿泊業,飲食サービス業 269.5 +3.8%

雇用形態別の賃金

正社員と非正社員の間には依然として大きな賃金格差があります。

区分 正社員・正職員 正社員以外 格差(正社員=100)
男女計 348.6千円(+3.7%) 233.1千円(+2.9%) 66.9
男性 376.9千円(+3.7%) 259.2千円(+1.6%) 68.8
女性 294.2千円(+4.4%) 210.3千円(+3.3%) 71.5

非正社員の賃金は正社員の約67%の水準です。前年(67.4)と比べると0.5ポイント格差が拡大しており、正社員の賃金上昇率が非正社員を上回っています。

学歴別の賃金

学歴による賃金差も顕著です。大学院卒(497.0千円)は高校卒(288.9千円)の約1.7倍となっています。

学歴 男女計(千円) 男性(千円) 女性(千円) 前年比
高校 288.9 313.2 237.7 +2.5%
専門学校 306.9 +2.2%
高専・短大 307.2 +3.3%
大学 385.8 417.7 315.1 +4.4%
大学院 497.0 513.7 420.9 +4.3%

大学・大学院卒の伸び率が高校卒を上回っており、学歴間の賃金差は拡大傾向にあります。

解説

賃金上昇の加速

令和6年の平均賃金は前年比 +3.8% と大幅に上昇しました。2015年から2021年までほぼ横ばいだった賃金水準は、2022年以降に加速度的な上昇に転じています。背景には、物価上昇に対応した春闘での高い賃上げ率(2024年春闘は連合集計で +5.10%)や、人手不足を反映した賃金競争の激化があります。

男女間格差は改善傾向だが課題は残る

女性の賃金上昇率(+4.8%)が男性(+3.5%)を上回り、男女間格差は75.8まで改善しました。しかし、年齢別の賃金カーブを見ると、男性が55〜59歳まで上昇し続けるのに対し、女性は30代以降の上昇が鈍化します。この差は、管理職比率の違い、勤続年数の差、非正規雇用比率の高さなど、構造的な要因を反映しています。

正規・非正規の格差は依然として大きい

正社員と非正社員の賃金格差は66.9(正社員=100)と、約3割の差があります。特に男性の非正社員は正社員の68.8%にとどまり、正社員の賃金上昇率(+3.7%)が非正社員(+1.6%)を大きく上回ったことで、格差がやや拡大しました。

産業間・学歴間の格差

産業間では最高と最低で約1.6倍の差があり、情報通信業・金融業など知識集約型の産業が高水準です。学歴別でも大学院卒と高校卒で約1.7倍の差があり、高学歴ほど伸び率が高いため、学歴間格差は拡大傾向にあります。

※ データは令和6年(2024年)6月分の所定内給与額。令和7年3月17日公表(概況)

出典

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