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社会

介護保険事業の現状 — 高齢化と介護費用の推移

最終更新: 2026年3月20日

厚生労働省「介護保険事業状況報告」「介護給付費等実態統計」をもとに、介護費用の総額推移・要介護認定者数・保険料・サービス構成を解説します。

厚生労働省「令和5年度 介護保険事業状況報告(年報)」(2025年8月公表)および「令和5年度 介護給付費等実態統計」をもとに、日本の介護保険事業の現状を要約します。介護保険制度は2000年4月に創設され、高齢者の介護を社会全体で支える仕組みとして運営されています。

目次

要点

  • 令和5年度の介護費用総額は11兆7,186億円(前年度比+3.0%)で過去最高を更新
  • 要介護・要支援認定者数は708万人(令和6年3月末時点)で、制度開始時の約2.8倍
  • 第9期(2024〜2026年度)の第1号被保険者保険料は全国平均月額6,225円で過去最高
  • 居宅サービスが給付費全体の約45%を占め、在宅介護が中心的な役割を果たしている
  • 75歳以上の認定率は**31.1%**で、後期高齢者の約3人に1人が要介護・要支援認定を受けている

介護費用の推移

介護保険の費用総額は制度開始以来、一貫して増加しています。2000年度の3.6兆円から2023年度は11.7兆円へと約3.3倍に拡大しました。

年度 費用額(億円) 給付費(億円) 前年度比(費用額)
2000年度 36,273 32,427
2005年度 64,464 57,943
2010年度 78,363 72,536
2015年度 98,189 92,290 +1.4%
2016年度 100,627 94,443 +2.5%
2017年度 102,654 96,266 +2.0%
2018年度 106,045 99,622 +3.3%
2019年度 108,782 102,311 +2.6%
2020年度 110,686 104,317 +1.8%
2021年度 111,271 105,100 +0.5%
2022年度 113,778 105,100 +2.3%
2023年度 117,186 108,263 +3.0%

費用額は利用者負担を含む総額、給付費は利用者負担を除いた保険給付分です。

要介護認定者数の推移

要介護・要支援認定者数は令和6年3月末時点で708万人に達し、前年度比14万人(+2.0%)の増加です。制度開始時(2000年4月:256万人)から約2.8倍に増えています。

要介護度別の構成(令和6年3月末)

要介護度 構成割合
要支援1 14.4%
要支援2 14.1%
要介護1 20.7%
要介護2 16.8%
要介護3 13.1%
要介護4 12.6%
要介護5 8.3%

要介護1が最も多く、全体の約2割を占めています。要支援1・2を合わせた軽度の認定者が全体の約3割に達しています。

認定率

  • 第1号被保険者数(65歳以上): 3,589万人(令和6年3月末)
  • 認定率(第1号被保険者に占める割合): 19.4%
  • 75歳以上の認定率: 31.1%

65歳以上の約5人に1人、75歳以上では約3人に1人が要介護・要支援の認定を受けています。

サービス種類別の給付費構成

令和5年度の介護サービス費用額累計は11兆5,139億円(介護給付費等実態統計・原審査ベース)です。

サービス区分 費用額(億円) 構成比
居宅サービス 50,410 44.9%
施設サービス 36,648 32.7%
地域密着型サービス 19,732 17.6%
居宅介護支援 5,357 4.8%

居宅サービスが全体の約45%を占め、在宅での介護が中心です。利用者数が多いサービスは、福祉用具貸与(295万人)、通所介護(168万人)、訪問介護(161万人)の順です。

月平均受給者数(令和5年度)

サービスの月平均受給者数は609万人(前年度比+1.7%)です。

サービス区分 月平均受給者数(万人) 構成比
居宅サービス 422 69.2%
地域密着型サービス 96 15.8%
施設サービス 91 15.0%

第1号被保険者の保険料推移

介護保険料(第1号被保険者・65歳以上)の全国加重平均は、制度開始以来ほぼ一貫して上昇しています。

計画期 期間 月額保険料(全国平均) 前期比
第1期 2000〜2002年度 2,911円
第2期 2003〜2005年度 3,293円 +13.1%
第3期 2006〜2008年度 4,090円 +24.2%
第4期 2009〜2011年度 4,160円 +1.7%
第5期 2012〜2014年度 4,972円 +19.5%
第6期 2015〜2017年度 5,514円 +10.9%
第7期 2018〜2020年度 5,869円 +6.4%
第8期 2021〜2023年度 6,014円 +2.5%
第9期 2024〜2026年度 6,225円 +3.5%

第1期の月額2,911円から第9期の6,225円へと約2.1倍に増加しました。第9期では、保険料を引き上げた保険者が712(45.3%)、据え置きが585(37.2%)、引き下げが276(17.5%)です。

地域差

  • 最高(都道府県平均): 大阪府 7,486円
  • 最低(都道府県平均): 山口県 5,568円
  • 保険者単位の最高: 大阪市 9,249円
  • 保険者単位の最低: 東京都小笠原村 3,374円

解説

制度創設からの変化

介護保険制度は2000年に「介護の社会化」を目的として創設されました。当初の費用総額3.6兆円から2023年度は11.7兆円と約3.3倍に拡大しています。認定者数も256万人から708万人へと急増しました。これは高齢者人口の増加に加え、制度の浸透によるサービス利用の拡大を反映しています。

国民医療費との比較

国民医療費(2023年度:48.1兆円)と比べると、介護費用(11.7兆円)はその約4分の1の規模です。ただし、増加率では介護費用の方が高く、2000年度を起点にした増加倍率は医療費の約1.6倍に対して介護費用は約3.3倍です。

在宅介護の拡大

給付費の約45%を居宅サービスが占め、受給者数では約70%が居宅サービスの利用者です。政策的に「施設から在宅へ」の方向が推進されており、地域密着型サービス(17.6%)と合わせると、施設以外のサービスが全体の6割超を占めています。

保険料の負担増

第1号被保険者の保険料は24年間で約2.1倍になりました。厚生労働省の推計では、団塊の世代が全員75歳以上となる2025年度以降、要介護認定者のさらなる増加が見込まれています。2040年度には保険料が月額約9,000円に達するとの推計もあり、制度の持続可能性が課題となっています。

2024年度の介護報酬改定

2024年度に介護報酬改定が実施され、改定率は+1.59%(処遇改善等を含め実質+2.04%)となりました。従来3つに分かれていた処遇改善加算が一本化され、介護職員の賃金引き上げが図られています。

出典

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