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インバウンド消費動向 — 訪日外国人の旅行消費額

最終更新: 2026年3月17日

観光庁のインバウンド消費動向調査をもとに、訪日外国人の旅行消費額・国別内訳・費目別構成を要約・解説します。

観光庁が公表するインバウンド消費動向調査の最新データを要約します。この記事では、2025年暦年(速報)および2025年10-12月期(1次速報)をもとに、訪日外国人の旅行消費額の動向を解説します。

目次

インバウンド消費動向調査とは

インバウンド消費動向調査は、観光庁が四半期ごとに公表する統計調査です。訪日外国人旅行者の旅行中の消費実態を把握するため、全国の主要空海港で訪日外国人にアンケートを実施し、旅行消費額を推計しています。

主な指標は以下の通りです。

  • 旅行消費額(総額) — 訪日外国人が日本滞在中に支出した金額の合計
  • 一人当たり旅行支出 — 旅行者1人あたりの平均支出額
  • 費目別内訳 — 宿泊費・飲食費・買物代・交通費・娯楽等サービス費の構成比

要点

  • 2025年の訪日外国人旅行消費額は 9兆4,559億円過去最高 を更新(前年比+16.4%)
  • 2019年(4兆8,135億円)と比較して 約2倍 の水準に到達
  • 国別では 中国が2兆円超 で消費額トップ(構成比21.2%)、次いで台湾・米国
  • 一人当たり支出が高いのは ドイツ(39.4万円)・英国(39.0万円)・豪州(39.0万円)
  • 費目別では 宿泊費が最大(36.6%) で、買物代(27.0%)を上回る構造に変化

年間旅行消費額の推移

2015年以降の年間旅行消費額(億円)の推移です。2020〜2022年はコロナ禍で大幅に減少しましたが、2023年以降は急回復し、2025年に過去最高を更新しました。

消費額(億円) 前年比 2019年比 1人当たり支出(万円)
2015年 34,771 17.6
2016年 37,476 +7.8% 15.6
2017年 44,162 +17.8% 15.4
2018年 45,189 +2.3% 15.3
2019年 48,135 +6.5% 基準年 18.5
2020年 7,446 ▲84.5% ▲84.5%
2021年 1,208 ▲83.8% ▲97.5%
2022年 8,987 +644% ▲81.3%
2023年 53,065 +490% +10.2% 21.3
2024年 81,257 +53.1% +68.8% 22.7
2025年 94,559 +16.4% +96.4% 22.9

国・地域別の消費額

上位10か国・地域(2025年 暦年)

順位 国・地域 消費額(億円) 構成比 前年比 1人当たり支出(万円)
1 中国 20,026 21.2% +16.0% 24.6
2 台湾 12,110 12.8% +11.1% 18.6
3 米国 11,241 11.9% +24.7% 34.1
4 韓国 9,864 10.4% +2.7% 10.5
5 香港 5,613 5.9% ▲15.0% 22.6
6 豪州 4,104 4.3% +17.5% 39.0
7 タイ 2,512 2.7% +11.0% 20.4
8 シンガポール 2,294 2.4% +14.4% 31.8
9 カナダ 2,196 2.3% +24.4% 32.2
10 英国 2,071 2.2% +24.9% 39.0
  • 上位5か国・地域(中国・台湾・米国・韓国・香港)で全体の 62.2% を占める
  • 中国は消費額トップだが、1人当たり支出は前年比▲11.0%と減少傾向
  • 欧州からの伸びが顕著: ドイツ+58.3%、スペイン+32.9%、イタリア+34.0%
  • 韓国は訪日客数1位(946万人)だが、1人当たり支出は10.5万円と最も低い

一人当たり支出の上位国(2025年)

国・地域 1人当たり支出(万円)
ドイツ 39.4
英国 39.0
豪州 39.0
フランス 36.0
スペイン 36.4

欧米・豪州は滞在日数が長く、1人当たりの消費額が高い傾向にあります。

費目別の消費額

2025年 費目別構成(暦年)

費目 消費額(億円) 構成比
宿泊費 34,617 36.6%
買物代 25,490 27.0%
飲食費 20,711 21.9%
交通費 9,465 10.0%
娯楽等サービス費 4,218 4.5%

一人当たり費目別支出(一般客)

費目 金額(円)
宿泊費 84,153
買物代 61,014
飲食費 50,279
交通費 22,974
娯楽等サービス費 10,251
合計 228,809

※ 平均泊数は9.5泊(前年差+0.5泊)

四半期別推移

2023年以降の四半期別推移です。2024年以降は毎四半期2兆円を超える水準が定着しています。

四半期 消費額(億円) 1人当たり支出(万円)
2023年1-3月期 10,103 21.1
2023年4-6月期 12,319 20.9
2023年7-9月期 13,801 20.9
2023年10-12月期 16,831 22.0
2024年1-3月期 17,700 21.1
2024年4-6月期 19,186 23.9
2024年7-9月期 21,402 22.0
2024年10-12月期 22,969 23.6
2025年1-3月期 22,803 22.3
2025年4-6月期 25,043 23.7
2025年7-9月期 21,384 22.0
2025年10-12月期 25,330 23.4

解説

9.5兆円で過去最高を更新

2025年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,559億円となり、前年(8兆1,257億円)を16.4%上回って過去最高を更新しました。2019年の4兆8,135億円と比較すると約2倍の水準です。訪日外客数の増加(4,268万人、前年比+15.8%)に加え、一人当たり支出も22.9万円と微増しており、量・質の両面で成長が続いています。

消費構造の変化 — 宿泊費が最大に

費目別では宿泊費(36.6%)が買物代(27.0%)を上回り、最大の支出項目となっています。コロナ前は「爆買い」に象徴される買物中心の消費構造でしたが、現在は宿泊・飲食・体験といった「コト消費」にシフトしています。娯楽等サービス費も4,218億円と増加傾向にあります。

欧米・豪州市場の存在感

消費額の伸びが顕著なのは欧米・豪州市場です。ドイツ(+58.3%)、イタリア(+34.0%)、スペイン(+32.9%)など欧州からの消費が急増しています。欧米・豪州の旅行者は滞在日数が長く、1人当たり支出が35〜40万円と高いため、人数のシェア以上に消費額への貢献が大きくなっています。

中国は消費額トップだが単価は低下

中国は消費額2兆円超で国別トップを維持していますが、1人当たり支出は24.6万円で前年比▲11.0%と減少しています。訪日客数の増加(前年比+30.3%)によって総額は伸びているものの、消費単価の低下傾向が見られます。一方、韓国は訪日客数最多(946万人)ですが、1人当たり支出は10.5万円と最も低い水準です。

円安の影響

円安が訪日外国人の消費を後押ししている面があります。外国通貨ベースでは日本での買い物や宿泊が割安に感じられるため、消費額の増加につながっています。ただし、一人当たり支出(円ベース)の伸びは+0.9%と緩やかであり、消費額の増加は主に訪日客数の増加によるものです。

出典

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