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経済

家計調査 — 消費支出の動向

最終更新: 2026年3月16日

総務省統計局の家計調査から、二人以上世帯の消費支出・実収入の最新動向を解説。2026年1月の消費支出は307,584円(実質前年比▲1.0%)。

総務省統計局が毎月公表する「家計調査」の最新データを要約します。この記事では、2026年1月分の月次速報と2025年平均のデータをもとに、二人以上世帯の消費支出と実収入の動向を解説します。

目次

家計調査とは

家計調査は、総務省統計局が毎月実施する、世帯の収入・支出を把握するための基幹統計調査です。全国約9,000世帯を対象に家計簿の記帳を依頼し、消費の実態を明らかにします。

主な指標として以下が注目されます。

  • 消費支出 — 世帯が日常生活で購入する商品・サービスの合計額
  • 実収入 — 勤労者世帯の税込み収入(給与・賞与・事業所得等)
  • 可処分所得 — 実収入から税金・社会保険料を差し引いた手取り収入
  • 平均消費性向 — 可処分所得に占める消費支出の割合

実質値は消費者物価指数で調整し、物価変動の影響を除いた購買力ベースの変化を示します。

要点

  • 2026年1月の消費支出は307,584円(実質前年同月比 ▲1.0%)で2か月連続の実質減少
  • 2025年平均の消費支出は314,001円(実質前年比 +0.9%)で3年ぶりの実質増加
  • 費目別では教養娯楽(実質+10.8%)、家具・家事用品(実質+13.5%)が大幅増加
  • 勤労者世帯の実収入は530,520円(実質+1.3%)で5か月ぶりに実質増加
  • 平均消費性向は**77.4%**で前年同月比1.5ポイント低下し、節約志向が続く

消費支出の推移

二人以上世帯の消費支出(実質前年同月比 %)の推移です。2024年は多くの月でマイナスが続きましたが、2025年は中盤にかけてプラスに転じました。2025年後半は増減を繰り返し、2026年1月は再び▲1.0%となっています。

年月 消費支出(円) 実質前年同月比
2024年1月 289,467 -6.3%
2024年4月 313,300 +0.5%
2024年7月 290,931 +0.1%
2024年10月 305,819 -1.3%
2024年12月 352,633 +2.7%
2025年1月 305,521 +0.8%
2025年3月 339,232 +2.1%
2025年5月 316,085 +4.7%
2025年8月 313,977 +2.3%
2025年11月 314,242 +2.9%
2025年12月 351,522 -2.6%
2026年1月 307,584 -1.0%

2025年平均

指標 金額(円) 実質前年比 名目前年比
消費支出 314,001 +0.9% +4.6%

2025年平均の消費支出は314,001円で、実質では3年ぶりのプラスとなりました。ただし名目(+4.6%)と実質(+0.9%)の差が大きく、物価上昇が家計を圧迫している構図が続いています。

費目別の内訳

2026年1月(前年同月比)

費目 金額(円) 実質前年同月比 備考
食料 92,562 +1.5% 2か月ぶりの実質増加
住居 16,956 -12.3% 7か月連続の実質減少
光熱・水道 28,363 -2.6% 2か月ぶりの実質減少
家具・家事用品 12,614 +13.5% 3か月連続の実質増加
被服及び履物 10,241 -1.7% 2か月連続の実質減少
保健医療 15,397 +3.1% 8か月連続の実質増加
交通・通信 41,388 -1.0% 2か月連続の実質減少
教育 8,112 -22.6% 4か月ぶりの実質減少
教養娯楽 31,533 +10.8% 3か月連続の実質増加
その他の消費支出 50,419 -5.9% 4か月連続の実質減少

2025年平均(費目別)

費目 月平均(円) 実質前年比 傾向
食料 94,895 -1.2% 6年連続の実質減少
交通・通信 45,730 +6.7% 2年ぶりの実質増加
教養娯楽 32,125 +3.7% 2年ぶりの実質増加
光熱・水道 24,547 +2.5% 2年ぶりの実質増加
住居 18,678 +0.7% 4年ぶりの実質増加
保健医療 15,863 +1.9% 2年連続の実質増加
家具・家事用品 13,068 -0.5% 5年連続の実質減少
教育 11,939 +6.8% 2年連続の実質増加
被服及び履物 10,063 -1.8% 2年ぶりの実質減少

食料は支出額で最大(月約9.5万円)ですが、6年連続の実質減少が続いており、物価上昇に対して購入量を抑える節約行動がうかがえます。一方、交通・通信(+6.7%)や教養娯楽(+3.7%)はサービス消費の回復を反映しています。

実収入の動向

二人以上世帯のうち勤労者世帯のデータです。

2026年1月

指標 金額(円) 実質前年同月比
実収入 530,520 +1.3%
可処分所得 432,712 +1.3%
消費支出(勤労者世帯) 335,007
平均消費性向 77.4% -1.5pt

実収入は5か月ぶりに実質プラスとなりました。世帯主の定期収入が実質+0.9%と2か月連続で増加しており、賃上げの効果が反映されています。

2025年平均(勤労者世帯)

指標 金額(円) 実質前年比
実収入 653,901 -0.9%
可処分所得 532,408 -1.7%
消費支出 346,297 +2.7%

2025年平均の実収入は名目では+2.8%増加しましたが、物価上昇を差し引いた実質では▲0.9%と2年ぶりの減少です。名目の賃上げが物価上昇に追いついていない状況が続いています。

解説

消費支出は回復基調も一進一退

2025年平均の消費支出は実質+0.9%と3年ぶりにプラスへ転じ、コロナ後の消費回復が統計上も確認できました。ただし月次でみると増減を繰り返しており、安定的な回復には至っていません。2026年1月は実質▲1.0%と再びマイナスとなっています。

物価上昇下の「やりくり消費」

名目の消費支出(+4.6%)と実質(+0.9%)の差が示すように、支出額は増えているものの、その大部分は物価上昇による「値上がり分」です。特に食料は6年連続で実質減少が続いており、食品価格の上昇に対して購入量を減らす節約行動が定着しています。

サービス消費の回復が目立つ

2025年は交通・通信(実質+6.7%)、教育(+6.8%)、教養娯楽(+3.7%)といったサービス関連の支出が伸びました。2026年1月も教養娯楽は+10.8%、保健医療は+3.1%と増加が続いています。宿泊料やすし(外食)などの品目が増加に寄与しており、体験型消費への支出意欲は堅調です。

実質賃金と消費性向

2025年平均の実収入は実質▲0.9%と、名目賃上げが物価上昇を相殺しきれていません。平均消費性向は2026年1月に77.4%(前年比▲1.5pt)と低下しており、収入が増えても消費に回さず貯蓄に振り向ける傾向がみられます。物価高への防衛的な家計行動が続いています。

出典

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