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環境

日本の温室効果ガス排出量の推移

最終更新: 2026年3月16日

環境省の温室効果ガス排出・吸収量データをもとに、日本の排出量の長期推移と部門別内訳を解説します。

環境省が公表する「日本の温室効果ガス排出・吸収量」の最新データを要約します。この記事では、2023年度の確報値をもとに、日本の温室効果ガス排出量の推移と構造を解説します。

目次

温室効果ガス排出量とは

温室効果ガス排出・吸収量は、環境省と国立環境研究所が毎年算定・公表する統計です。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に基づく報告義務の一環として、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、代替フロン等4ガス(HFCs・PFCs・SF6・NF3)の排出量と、森林等による吸収量を算定しています。

主な指標は以下の通りです。

  • 総排出量 — すべての温室効果ガスをCO2換算で合計した値
  • 排出・吸収量 — 総排出量から森林吸収源等による吸収量を差し引いた値
  • 2013年度比 — パリ協定に基づくNDC(国が決定する貢献)の基準年との比較

要点

  • 2023年度の温室効果ガス排出量は 約10億7,100万トン(CO2換算)で、過去最低を記録
  • 前年度比 ▲4.0%、2013年度比 ▲23.3% と削減が進行
  • 吸収量を差し引いた排出・吸収量は 約10億1,700万トン で、2013年度比 ▲27.1%
  • 全部門でエネルギー起源CO2が減少し、再エネ拡大と省エネが寄与
  • 2030年度目標(2013年度比▲46%)に対して、残り約19ポイントの削減が必要

排出量の推移

各年度の温室効果ガス総排出量(億トンCO2換算)の推移です。2013年度をピークに減少傾向が続いています。

年度 排出量(億トン) 前年度比 2013年度比
2013年 13.95
2014年 13.44 ▲3.7% ▲3.7%
2015年 13.18 ▲1.9% ▲5.5%
2016年 13.05 ▲1.0% ▲6.5%
2017年 12.90 ▲1.1% ▲7.5%
2018年 12.40 ▲3.9% ▲11.1%
2019年 11.90 ▲4.0% ▲14.7%
2020年 11.25 ▲5.5% ▲19.4%
2021年 11.47 +2.0% ▲17.8%
2022年 11.16 ▲2.7% ▲20.0%
2023年 10.71 ▲4.0% ▲23.3%

※ 2020年度はCOVID-19の影響による経済活動の停滞が寄与。2021年度は経済回復により一時的に増加

主要数値

総排出量と吸収量(2023年度・確報値)

項目 数値 2013年度比
温室効果ガス総排出量 10億7,100万トン ▲23.3%
森林吸収源等による吸収量 5,370万トン
排出・吸収量(吸収量控除後) 10億1,700万トン ▲27.1%

※ 2025年4月公表

ガス種別排出量(2023年度)

ガス種 排出量(百万トン) 構成比 2013年度比
CO2(エネルギー起源) 922 86.1% ▲25.4%
CO2(非エネルギー起源) 67 6.3% ▲15.0%
メタン(CH4) 29.4 2.7% ▲9.9%
一酸化二窒素(N2O) 15.8 1.5% ▲19.7%
代替フロン等4ガス 37.0 3.5% +28.2%
合計 1,071 100% ▲23.3%

※ 代替フロン等4ガス(HFCs・PFCs・SF6・NF3)は2013年度比で増加しているが、2022年度比では▲3.9%と減少に転じている

部門別CO2排出量(電気・熱配分後、2023年度)

部門 排出量(百万トン) 構成比 2013年度比 前年度比
産業(工場等) 340 34.3% ▲26.7% ▲4.0%
運輸(自動車等) 190 19.2% ▲15.2% ▲0.7%
業務その他 165 16.7% ▲29.7% ▲6.2%
家庭 147 14.9% ▲29.7% ▲6.8%
エネルギー転換 81 8.2% ▲23.7% ▲3.8%
非エネルギー起源 67 6.8% ▲15.0% ▲5.0%

2030年度目標との比較

指標 数値
2013年度排出量(基準年) 約14.0億トン
2023年度排出・吸収量(現状) 約10.2億トン
現状の削減率(2013年度比) ▲27.1%
2030年度目標 2013年度比 ▲46%
目標達成に必要な追加削減 約19ポイント

解説

10年連続の排出量減少

日本の温室効果ガス総排出量は、2013年度の約14.0億トンをピークに減少傾向が続いています。2023年度は約10.7億トンで、1990年度以降の過去最低を更新しました。10年間で約3.2億トン(23.3%)の削減を達成しています。

減少の主な要因

排出量の減少には複数の要因が寄与しています。電力部門では再生可能エネルギーの導入拡大(電源構成の22.9%)と原子力発電の再稼働(同8.5%)により、火力発電の割合が68.6%に低下しました。産業・業務・家庭の各部門でも省エネルギーの進展によりエネルギー消費量が減少しています。GDP当たりの温室効果ガス排出量は11年連続で低下し、過去最小を更新しました。

代替フロンの動向

温室効果ガスの大部分(92.3%)を占めるCO2が減少する一方で、代替フロン等4ガスは2013年度比で28.2%増加しています。これはオゾン層を破壊する特定フロンから代替フロン(HFCs)への転換が進んだためです。ただし、低GWP(地球温暖化係数)冷媒への移行が進み、2022年度以降は減少に転じています。

吸収量の推移

森林吸収源等による吸収量は5,370万トンで、排出量の約5%に相当します。森林の高齢化に伴いCO2吸収能力が低下する傾向にあり、2014年度の6,900万トンから減少しています。ブルーカーボン(藻場等による吸収)の計上も始まっていますが、規模は約34万トンと限定的です。

2030年度目標への道のり

日本は2030年度までに2013年度比46%の排出削減を目標としています。2023年度時点で27.1%の削減を達成していますが、目標まで約19ポイントの追加削減が必要です。残り7年間で年平均約2.7ポイントの削減ペースが求められ、これまでの年平均約2.7ポイントの削減実績とほぼ同等のペースを維持する必要があります。さらに、2035年度には60%削減、2040年度には73%削減という長期目標も掲げられています。

出典

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