経済産業省 資源エネルギー庁が公表する「エネルギー白書2025」(令和6年度エネルギーに関する年次報告)および2023年度エネルギー需給実績(確報)をもとに、日本のエネルギー構成の現状と推移を解説します。
目次
エネルギー構成とは
エネルギー構成(エネルギーミックス)とは、電力の発電や熱・動力の供給に使われるエネルギー源の組み合わせのことです。日本のエネルギー政策では、主に以下の2つの観点で構成を把握します。
- 一次エネルギー供給 — 石油・石炭・天然ガス・原子力・再生可能エネルギーなど、すべてのエネルギー源の供給量と構成比
- 電源構成 — 発電電力量に占める火力・原子力・再生可能エネルギーの割合
日本は一次エネルギーの約8割を海外からの化石燃料輸入に依存しており、エネルギー自給率はG7の中で最も低い水準にあります。
要点
- 2023年度のエネルギー自給率は 15.3% で、東日本大震災以降の最高値を更新
- 電源構成の 非化石電源比率が31.4% に達し、震災以降で初めて30%を超えた
- 再生可能エネルギーの発電比率は 22.9%(2013年度の10.9%から倍増)
- 原子力の発電比率は 8.5% に回復(再稼働の進展による)
- 化石燃料依存度は低下傾向だが、一次エネルギー供給の 約8割 を依然として占める
電源構成の推移
2023年度の発電電力量は9,877億kWhで、2010年度以降の最少となりました。電源別の構成比は以下の通りです。
電源別構成比の詳細(2023年度)
| 電源 | 構成比 | 2013年度 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 火力合計 | 68.6% | 88.2% | ▲19.6pp |
| 天然ガス(LNG) | 32.9% | — | — |
| 石炭 | 28.3% | — | — |
| 石油等 | 7.4% | — | — |
| 再エネ合計 | 22.9% | 10.9% | +12.0pp |
| 太陽光 | 9.8% | — | — |
| 水力 | 7.6% | — | — |
| バイオマス | 4.1% | — | — |
| 風力 | 1.1% | — | — |
| 地熱 | 0.3% | — | — |
| 原子力 | 8.5% | 0.9% | +7.6pp |
※ 2013年度は東日本大震災後の原発停止期間中のため、火力の比率が突出して高い
一次エネルギー供給の構成
2023年度の一次エネルギー国内供給は前年度比4.0%減少しました。化石燃料は7.0%減と1991年度以降で最大の減少幅を記録した一方、非化石燃料は11.1%増加しました。
| エネルギー源 | 構成比 | 前年度比 |
|---|---|---|
| 石油 | 約36% | ▲5.2% |
| 石炭 | 約25% | ▲8.7% |
| 天然ガス | 約21% | ▲7.9% |
| 再エネ・水力 | 約13% | +6.3%(水力除く) |
| 原子力 | 約5% | +51.7% |
| 化石燃料合計 | 約82% | — |
| 非化石エネルギー合計 | 約18% | — |
※ 非化石エネルギーのシェア(約19.3%)は25年ぶりの高水準
主要数値
エネルギー自給率の推移
| 年度 | エネルギー自給率 |
|---|---|
| 2010年 | 20.3% |
| 2012年 | 6.7% |
| 2014年 | 6.4% |
| 2016年 | 8.3% |
| 2018年 | 11.8% |
| 2020年 | 11.2% |
| 2022年 | 12.6% |
| 2023年 | 15.3% |
※ 2012〜2014年は原発停止の影響で大幅に低下。その後、再エネ拡大と原発再稼働により回復傾向
第7次エネルギー基本計画の目標(2040年度)
| 指標 | 2023年度(実績) | 2040年度(目標) |
|---|---|---|
| 再エネ比率(電源) | 22.9% | 4〜5割程度 |
| 原子力比率(電源) | 8.5% | 2割程度 |
| 火力比率(電源) | 68.6% | 3〜4割程度 |
| エネルギー自給率 | 15.3% | 3〜4割程度 |
※ 2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画に基づく
解説
震災後のエネルギー構成の変化
2011年の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故は、日本のエネルギー構成を大きく変えました。震災前に発電量の約25%を占めていた原子力はほぼゼロとなり、その代替として火力発電の比率が約9割まで上昇しました。化石燃料の輸入増加により、エネルギー自給率は2014年度に過去最低の6.4%まで低下しています。
再生可能エネルギーの拡大
2012年の固定価格買取制度(FIT)導入以降、再生可能エネルギーの導入が加速しています。2023年度の再エネ発電比率は22.9%に達し、2013年度の10.9%から10年間で倍増しました。太陽光発電が9.8%と再エネの中で最大のシェアを占め、水力(7.6%)、バイオマス(4.1%)が続きます。風力発電は1.1%にとどまっており、洋上風力を中心とした拡大が今後の課題です。
化石燃料依存の現状
再エネの拡大にもかかわらず、日本の一次エネルギー供給の約8割は依然として化石燃料です。G7諸国の中で最も高い水準にあり、エネルギー安全保障上の課題となっています。特に中東情勢の緊迫化やロシアによるウクライナ侵攻は、化石燃料の調達リスクを改めて浮き彫りにしました。
2040年度に向けた展望
2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、2040年度の電源構成として再エネ4〜5割、原子力2割、火力3〜4割を目標に掲げています。再エネを初めて最大の電源と位置づけ、原子力も「最大限活用する」方針が明確化されました。2023年度の実績から目標を達成するには、再エネ比率をさらに倍増させる必要があり、太陽光(23〜29%)と風力(4〜8%)の大幅な拡大が求められます。