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技術

情報通信白書 — デジタル化の現状

最終更新: 2026年3月16日

総務省の令和7年版情報通信白書と通信利用動向調査をもとに、日本のデジタル化の進展状況・企業のDX推進度・デジタルサービスの利用動向を解説します。

総務省が2025年7月に公表した「令和7年版 情報通信白書」と「令和6年 通信利用動向調査」のデータをもとに、日本のデジタル化の現状を要約します。

目次

要点

  • 情報通信産業の名目GDPは 57.4兆円(2023年)で全産業中最大規模
  • インターネット利用率は 85.6%、スマートフォン世帯保有率は 90.5%
  • 企業のクラウドサービス利用率は 8割超に到達し、約10年で倍増
  • 個人の生成AI利用経験は 26.7% で前年の9.1%から約3倍に急増
  • IMD世界デジタル競争力ランキングで日本は 31位、アジア主要国との差は依然大きい

ICT産業の市場規模

情報通信産業の名目GDPは2023年に57.4兆円となり、前年の55.5兆円から3.5兆円増加しました。全産業の中で最大規模の産業分野です。

個人のデジタル利用状況

令和6年通信利用動向調査(調査時点: 2024年8月末)による個人のデジタルサービス利用状況です。

インターネット利用率・端末保有率

指標 数値
インターネット利用率(全体) 85.6%
13〜69歳の利用率 9割超
スマートフォン世帯保有率 90.5%
スマートフォン個人保有率 80.5%
スマホでのネット利用 74.4%
PCでのネット利用 46.8%

スマートフォンでのインターネット利用がPCを27.6ポイント上回り、主要なインターネット接続端末となっています。テレビとスマートフォンの世帯保有率がほぼ同水準に達しました。

SNS利用状況

指標 数値
SNS利用率(インターネット利用者のうち) 81.9%
YouTube利用率 88.3%
X(旧Twitter)利用率 50.3%

SNS利用はインターネット利用目的の第1位で、80歳以上でも5割超が利用しています。利用目的は「知人とのコミュニケーション」(87.7%)が最多で、「情報を探すため」(64.0%)が続きます。

テレワーク実施状況

指標 数値
企業の導入率 47.3%(前年比 -2.6pt)
個人の実施率 28.2%(前年から微増)
導入効果ありと回答 86.3%

企業のテレワーク導入率は令和4年以降減少傾向です。導入目的はコロナ対応(66.0%)が依然最多ですが、ワークライフバランス向上(51.6%)や業務効率性向上(46.9%)が増加しています。未導入企業の理由は「テレワークに適した仕事がない」(79.3%)が最多です。

企業のデジタル化

クラウドサービスの利用

企業のクラウドサービス利用率は8割超に達し、約10年で倍増しました。

利用サービス 利用率
ファイル保管・データ共有 71.0%
社内情報共有・ポータル 57.6%
電子メール 56.8%

利用企業の 88.2% が「効果があった」と回答しています。利用理由は「場所・機器を選ばずに利用できる」(50.2%)が最多です。

IoT・AIシステムの導入

指標 数値
IoT/AIシステム導入済み企業 18.4%
導入予定を含む 29.7%
導入効果ありと回答 84.8%
産業別トップ(金融・保険業) 44.2%

導入目的は効率化・業務改善(88.1%)が圧倒的に多く、事業の全体最適化(30.8%)が続きます。

DX推進の課題

デジタル化の取組を未実施と回答した企業が約50% に上ります。大企業は約25%が未実施である一方、中小企業では約70%が未実施と、規模による格差が顕著です。

DXの主な課題は以下の通りです。

  • 人材不足(48.7%)
  • アナログな文化・価値観(27.8%)
  • DXの役割分担が不明確(27.4%)

生成AIの利用動向

個人の生成AI利用経験は2024年に26.7%となり、2023年の9.1%から約3倍に急増しました。20代では約45%が利用経験を持ちます。

日本の26.7%は前年から大幅に増加したものの、米国(68.8%)や中国(81.2%)と比較すると依然として低い水準です。

企業における生成AI活用方針の策定状況は約50%(2023年度の約43%から増加)で、大企業は約56%、中小企業は約34%と差があります。

デジタル競争力の国際比較

IMD世界デジタル競争力ランキング2024で、日本は 31位(前年32位から1ランク上昇)です。

国・地域 順位
シンガポール 3位
韓国 6位
香港 7位
台湾 9位
日本 31位

「将来の準備」の項目では38位と前年から6つ低下しており、人材・研究開発・技術応用の分野で改善の余地が大きいことが示されています。

また、デジタル関連サービスの収支赤字は2024年に 3.4兆円 に達し、2018年の1.3兆円から拡大が続いています。

解説

デジタル利用の「広がり」と「深さ」のギャップ

日本のインターネット利用率やスマートフォン保有率は高水準に達しており、SNS利用率も8割を超えるなど、個人レベルでのデジタル利用は広く浸透しています。一方で、生成AIの利用経験は米国・中国に大きく後れを取っており、新しいデジタル技術の活用では差が開いています。

企業のDX推進は二極化

クラウドサービスの利用率が8割超に達する一方、デジタル化の取組を未実施の企業が約50%を占めるという二極化が進んでいます。特に中小企業の約70%がデジタル化未実施であり、人材不足が最大の課題として挙げられています。

5G・通信インフラの拡大

5G基地局のカバー率は全国98.1%(2024年3月時点)に達し、固定系インターネットトラヒックは前年比12.7%増の38.9Tbps、移動通信は同15.6%増の8.1Tbpsと、通信量の拡大が続いています。

デジタル収支の赤字拡大

デジタル関連サービスの収支赤字が3.4兆円に拡大していることは、日本がデジタルサービスの「消費国」としての側面が強まっていることを示しています。国産デジタルサービスの競争力強化が今後の課題です。

出典

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