財務省が四半期ごとに公表する「四半期別法人企業統計調査」の最新データを要約します。この記事では、2025年10-12月期の調査結果(2026年3月3日公表)をもとに、日本企業の収益と設備投資の動向を解説します。
目次
法人企業統計調査とは
法人企業統計調査は、財務省が実施する日本の企業活動に関する基幹統計です。資本金1,000万円以上の営利法人等を対象に、売上高・経常利益・設備投資などの財務データを四半期ごとに調査しています。
GDP速報の2次速報にも利用される重要な統計であり、企業部門の実態を把握するうえで欠かせないデータです。金融業・保険業を除く全産業の数値が基本的な分析対象となります。
要点
- 2025年10-12月期の経常利益は 30兆270億円(前年同期比 +4.7%)で、過去4番目の高水準
- 売上高は 400兆6,499億円(同 +0.7%)で、過去2番目の規模
- 設備投資は 15兆3,865億円(同 +6.5%)と堅調に増加
- 売上高経常利益率は 7.5% と高水準を維持
- 非製造業の設備投資が前年同期比 +10.1% と特に強い伸び
経常利益の推移
全産業(金融業・保険業を除く)の経常利益(兆円)の推移です。企業収益は高水準で推移しており、直近5四半期はいずれも前年同期を上回っています。
| 四半期 | 経常利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 2024年10-12月期 | 28兆6,919億円 | +13.5% |
| 2025年1-3月期 | 28兆4,694億円 | +3.8% |
| 2025年4-6月期 | 35兆8,338億円 | +0.2% |
| 2025年7-9月期 | 27兆5,385億円 | +19.7% |
| 2025年10-12月期 | 30兆270億円 | +4.7% |
※ 金融業・保険業を除く全産業。四半期ごとの金額は季節的な変動を含むため、前年同期比での比較が適切です。
主要数値
売上高(2025年10-12月期)
| 区分 | 金額 | 前年同期比 | 順位 |
|---|---|---|---|
| 全産業 | 400兆6,499億円 | +0.7% | 過去2番目 |
| 製造業 | 121兆1,952億円 | +1.0% | 過去3番目 |
| 非製造業 | 279兆4,546億円 | +0.5% | 過去3番目 |
経常利益(2025年10-12月期)
| 区分 | 金額 | 前年同期比 | 順位 |
|---|---|---|---|
| 全産業 | 30兆270億円 | +4.7% | 過去4番目 |
| 製造業 | 11兆3,165億円 | +0.9% | 過去2番目 |
| 非製造業 | 18兆7,105億円 | +7.1% | 過去5番目 |
設備投資(2025年10-12月期)
| 区分 | 金額 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 全産業 | 15兆3,865億円 | +6.5% |
| 製造業 | 5兆2,458億円 | ±0.0% |
| 非製造業 | 10兆1,408億円 | +10.1% |
※ 設備投資はソフトウェア投資を含む。順位は2001年7-9月期以降の比較。
売上高経常利益率
| 区分 | 2025年10-12月期 | 前期(7-9月期) |
|---|---|---|
| 全産業 | 7.5% | 7.3% |
| 製造業 | 9.3% | 8.7% |
| 非製造業 | 6.7% | 6.6% |
季節調整済み前期比
| 項目 | 前期比 |
|---|---|
| 売上高 | +0.7% |
| 経常利益 | +1.6% |
| 設備投資 | +3.5% |
解説
企業収益は高水準が続く
2025年10-12月期の経常利益は30兆270億円で、5四半期連続の前年同期比プラスとなりました。季節調整済みの前期比でも+1.6%と増加しており、企業収益は堅調に推移しています。過去4番目の高水準であり、日本企業の収益力は歴史的に見ても高い水準にあります。
製造業は情報通信機械・電気機械が牽引
製造業の経常利益は前年同期比+0.9%と小幅な増加にとどまりました。情報通信機械(+52.9%)や電気機械(+21.8%)が大幅に増益した一方、生産用機械(-25.5%)や輸送用機械(-6.4%)が減益となり、業種間の差が大きくなっています。
非製造業はサービス業・情報通信業が好調
非製造業の経常利益は前年同期比+7.1%と、製造業を上回る伸びとなりました。サービス業(+20.7%)や情報通信業(+20.9%)が2割超の増益を記録しています。一方、卸売業・小売業(-3.3%)や運輸業・郵便業(-9.9%)は減益でした。
設備投資は非製造業が牽引
設備投資は全産業で前年同期比+6.5%と増加しました。製造業は±0.0%と横ばいでしたが、非製造業は+10.1%と力強い伸びを示しています。非製造業では不動産業(+40.7%)や情報通信業(+24.0%)の投資が特に活発でした。季節調整済みの前期比でも+3.5%と増加しており、企業の投資意欲は底堅いといえます。
売上高は過去2番目の水準
売上高は400兆6,499億円で、1954年の統計開始以来、過去2番目の高水準です。製造業・非製造業ともに前年同期を上回りましたが、伸び率は+0.7%と緩やかです。製造業では電気機械(+11.7%)が牽引する一方、石油・石炭(-21.5%)が大幅減となりました。