総務省が2025年5月に公表した「令和6年 通信利用動向調査」(調査時点: 2024年8月末)のデータをもとに、個人・企業のインターネット利用実態を要約します。
目次
要点
- スマートフォンの個人保有率が 80.5% に達し、初めて8割を超えた
- インターネット利用率は 85.6% で、13〜69歳では各年齢層で9割超
- 企業のテレワーク導入率は 47.3%(前年比 -2.6pt)で、コロナ後の減少傾向が続く
- インターネット利用時に不安を感じる人は 71.8% で、若年層の不安が増加
- 企業のセキュリティ被害は 46.2% と前年(53.9%)から改善
端末の保有状況
スマートフォンの個人保有率は80.5%となり、初めて8割を超えました。世帯保有率は90.5%で9割台を維持しています。
| 端末 | 世帯保有率 | 個人保有率 |
|---|---|---|
| スマートフォン | 90.5% | 80.5% |
| パソコン | — | — |
| 携帯電話(非スマホ) | — | 16.8% |
| モバイル端末全体 | — | 87.0% |
テレビとスマートフォンの世帯保有率がほぼ同水準に達しました。従来型携帯電話の個人保有率は16.8%まで低下し、スマートフォンへの移行が進んでいます。
インターネットの利用状況
利用率と利用端末
インターネット利用率は全体で85.6%です。13〜69歳の各年齢層で9割を超えています。
スマートフォンでのインターネット利用(74.4%)がパソコン(46.8%)を27.6ポイント上回り、主要なインターネット接続端末となっています。
年代別の利用目的
インターネットの利用目的は年代によって大きく異なります。
| 年齢層 | 1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| 6〜12歳 | 動画サイト(77.9%) | 検索(56.2%) | ゲーム(54.9%) |
| 13〜19歳 | SNS(91.8%) | 検索(81.6%) | 動画(76.8%) |
| 20〜29歳 | SNS(95.0%) | メール(84.2%) | 検索(83.7%) |
| 30〜49歳 | SNS(約90%) | メール(約87%) | 検索(約85%) |
| 50〜69歳 | メール(約86%) | 検索(約82%) | SNS(約81%) |
| 70歳以上 | メール(約70%) | SNS(約59%) | 検索(約57%) |
若年層(13〜49歳)ではSNSが最も利用され、50歳以上ではメールが最多です。80歳以上でもSNS利用率は5割を超えています。
SNS利用状況
SNS利用率はインターネット利用者の 81.9%(前年80.8%から上昇)です。
| 利用目的 | 割合 |
|---|---|
| 知人とのコミュニケーション | 87.7% |
| 知りたいことについて情報を探す | 64.0% |
テレワークの導入状況
企業のテレワーク導入率は47.3%で、前年(49.9%)から2.6ポイント低下しました。令和4年(51.7%)以降、減少傾向が続いています。
導入目的の変化
導入目的は「コロナ対応」(66.0%)が依然最多ですが、前年から減少しています。代わりに「ワークライフバランス向上」(51.6%)や「業務効率性向上」(46.9%)が増加しており、テレワークの位置づけがコロナ対応から働き方改革へ移行しつつあります。
| 導入目的 | 割合 |
|---|---|
| 新型コロナウイルス感染症への対応 | 66.0% |
| 勤務者のワークライフバランスの向上 | 51.6% |
| 業務の効率性(生産性)の向上 | 46.9% |
| 障害者、高齢者、介護・育児中の社員などへの対応 | 27.3% |
導入企業の 86.3% が「効果があった」と回答しています。個人のテレワーク実施率は28.2%で、実施形態は「在宅」(92.8%)が最多です。
未導入企業の理由は「テレワークに適した仕事がない」(79.3%)が圧倒的に多く、業種特性による導入の壁が明確になっています。
セキュリティ対策の実態
個人の不安
インターネット利用時に不安を感じる人は 71.8% です。13〜39歳の各年齢層で前年から大きく増加しました。
| 不安の内容 | 割合 |
|---|---|
| 個人情報や利用履歴の漏えい | 90.2% |
| コンピューターウイルスへの感染 | — |
| 架空請求やインターネット詐欺 | — |
世帯のセキュリティ対策
何らかの対策を実施している世帯は 95.1% です。
| 対策内容 | 実施率 |
|---|---|
| ソフトウェアを最新のものにする | 57.6% |
| 端末にパスワードなどを設定する | 55.9% |
| ウイルス対策ソフトをインストールする | 44.1% |
企業のセキュリティ対策と被害
企業の 97.7% が何らかのセキュリティ対策を実施しています。
| 対策内容 | 実施率 |
|---|---|
| 端末にウイルス対策プログラムを導入 | 82.0% |
| サーバにウイルス対策プログラムを導入 | 59.5% |
| ID・パスワードによるアクセス制御 | 58.9% |
セキュリティ被害を受けた企業は 46.2% で、前年の53.9%から7.7ポイント改善しました。被害内容は「標的型メールの送付」(29.1%)が最多で、「ウイルスの発見または感染」(23.6%)が続きます。
企業のクラウド・IoT活用
クラウドサービス
企業のクラウドサービス利用率は 8割超 に達し、約10年で倍増しました。利用企業の88.2%が「効果があった」と回答しています。
| 利用サービス | 利用率 |
|---|---|
| ファイル保管・データ共有 | 71.0% |
| 社内情報共有・ポータル | 57.6% |
| 電子メール | 56.8% |
利用理由は「場所・機器を選ばずに利用できる」(50.2%)が最多で、「災害時のバックアップ」の回答が前年から大きく増加しています。
IoT・AIの導入
IoT・AIシステムの導入企業は 18.4%(前年16.9%)で、導入予定を含めると29.7%です。産業別では金融・保険業(44.2%)が最も高い導入率を示しています。
解説
スマートフォン中心のインターネット利用
スマートフォンの個人保有率が初めて8割を超え、インターネット接続の主要端末としての地位が確立しました。パソコンとの差は27.6ポイントまで広がり、モバイルファーストの流れが鮮明です。テレビとスマートフォンの世帯保有率がほぼ並んだことは、メディア環境の転換を象徴しています。
テレワークは「定着」から「選別」の段階へ
テレワーク導入率はコロナ禍のピーク後、3年連続で低下しています。ただし導入企業の86.3%が効果を認めており、導入目的も感染症対応からワークライフバランスや生産性向上へ移行しています。未導入企業の79.3%が「適した仕事がない」と回答していることから、導入可能な業種では定着し、それ以外では不要という選別が進んでいます。
若年層に広がるセキュリティ不安
インターネット利用時に不安を感じる人は71.8%で、特に13〜39歳の若年層で前年から大きく増加しました。個人情報漏えいへの懸念(90.2%)が突出しており、デジタルネイティブ世代でもプライバシーリスクへの意識が高まっています。
企業のデジタル活用は段階的に拡大
クラウドサービスの利用率が8割超に定着する一方、IoT・AIの導入率は18.4%にとどまります。クラウドは「当たり前のインフラ」となりつつあり、次の焦点はIoT・AIの本格導入と、それを担う人材の確保に移っています。