ScaleWhite

環境

日本の気候変動 — 平均気温の上昇と異常気象

最終更新: 2026年3月20日

気象庁『日本の気候変動2025』をもとに、日本の年平均気温の長期上昇傾向、猛暑日・大雨の増加、将来予測を解説します。

文部科学省と気象庁が2025年3月に公表した『日本の気候変動2025 — 大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書』の主要データを要約します。日本の気温・降水・海面水温の長期変化と、21世紀末の将来予測を解説します。

目次

日本の気候変動2025とは

『日本の気候変動2025』は、文部科学省と気象庁が共同で公表した報告書です。日本における気温・降水量・海面水温・海面水位などの長期的な変化を、観測データと将来予測の両面から評価しています。前回の報告書(2020年版)から5年ぶりの改訂で、2024年までの最新データを反映しています。

主な評価項目は以下の通りです。

  • 気温 — 年平均気温の上昇率、猛暑日・熱帯夜の変化
  • 降水 — 短時間強雨・大雨の頻度変化
  • 海面水温 — 日本近海の長期上昇傾向
  • 将来予測 — 温暖化シナリオ別の21世紀末の見通し

要点

  • 日本の年平均気温は100年あたり +1.40℃ の割合で上昇(世界平均を上回る)
  • 2024年の年平均気温偏差は +1.48℃ で、統計開始以来の 最高記録 を更新
  • 猛暑日は1990年代半ばから急増し、1時間降水量80mm以上の大雨は約40年間で 約1.7倍 に増加
  • 日本近海の海面水温は100年あたり +1.33℃ で、世界平均(+0.62℃)の 2倍以上
  • 4℃上昇シナリオでは、21世紀末に猛暑日が全国平均で 約18日増加 と予測

年平均気温の推移

日本の年平均気温偏差(1991〜2020年平均からの差)の推移です。長期的な上昇傾向が続いており、2023年・2024年に記録的な高温を観測しました。

偏差(℃) 備考
2024 +1.48 統計開始以来 最高(1位)
2023 +1.29 歴代2位
2020 +0.65 歴代4位
2019 +0.62 歴代5位

※ 偏差の基準は1991〜2020年の30年平均値。統計期間は1898年〜2024年

猛暑日・熱帯夜の増加

気温の上昇に伴い、極端な高温の日数が増えています。

指標 定義 統計期間 傾向
猛暑日 最高気温 35℃以上の日 1910〜2024年 増加(特に1990年代半ばから急増)
真夏日 最高気温 30℃以上の日 1910〜2024年 増加
熱帯夜 最低気温 25℃以上の日 1929〜2024年 増加
冬日 最低気温 0℃未満の日 1910〜2024年 減少

2018年7月や2023年7月の猛暑は、統計学的解析により、地球温暖化の影響がなければ起こり得なかった事象であったことが示されています。

大雨の頻度変化

短時間強雨の発生回数は増加傾向にあります。1976〜1985年と2015〜2024年を比較した増加倍率です。

降水量の基準 1976〜1985年 2015〜2024年 増加倍率
1時間50mm以上 約226回 約334回 約1.5倍
1時間80mm以上 約14回 約24回 約1.7倍
1時間100mm以上 約2.2回 約4.0回 約1.8倍
日降水量200mm以上 約160日 約247日 約1.5倍
日降水量300mm以上 約28日 約55日 約1.9倍
日降水量400mm以上 約6.4日 約14日 約2.1倍

※ 全国のアメダス地点における観測値。より強い雨ほど増加率が大きい

一方、年間降水量の長期トレンド(1898年以降)には明確な変化傾向は確認されていません。無降水日(日降水量1.0mm未満)は100年あたり9.2日の割合で増加しており、「雨の降らない日が増え、降るときに激しく降る」傾向が強まっています。

海面水温の上昇

日本近海の年平均海面水温は、100年あたり +1.33℃ の割合で上昇しています。世界平均の上昇率(+0.62℃/100年)の2倍以上です。

項目 数値
日本近海の上昇率(100年あたり) +1.33℃
世界平均の上昇率(100年あたり) +0.62℃
日本近海 / 世界平均の比率 約2.1倍

上昇率が特に高い海域は日本海中部・釧路沖で、季節別では秋季・冬季の上昇が顕著です。暖流(黒潮)の影響や、陸地に近い地理的特性が上昇率の高さに寄与しています。

主要数値

観測データまとめ(2024年まで)

指標 数値 統計期間
年平均気温の上昇率 +1.40℃/100年 1898〜2024年
2024年の年平均気温偏差 +1.48℃(過去最高) 基準: 1991〜2020年
1時間80mm以上の大雨の増加 約1.7倍 1976〜2024年
無降水日の増加率 +9.2日/100年 1898〜2024年
日本近海の海面水温上昇率 +1.33℃/100年 〜2024年

将来予測(21世紀末: 2076〜2095年 vs 20世紀末: 1980〜1999年)

項目 2℃上昇シナリオ 4℃上昇シナリオ
年平均気温の上昇 +1.4℃ +4.5℃
猛暑日の増加 +約2.9日 +約17.5日
熱帯夜の増加 +約8.2日 +約38.0日
冬日の減少 ▲約16.6日 ▲約46.2日
日本近海の海面水温上昇 +1.13℃ +3.45℃

極端な高温の発生頻度予測

工業化以前に「100年に1回」だった極端な高温イベントが発生する頻度の変化です。

時期・シナリオ 発生頻度(100年あたり)
工業化以前 1回
20世紀末時点 約10回
1.5℃上昇時 約38回
2℃上昇時 約67回
4℃上昇時 約99回(ほぼ毎年)

解説

世界平均を上回る気温上昇

日本の年平均気温は100年あたり+1.40℃のペースで上昇しています。世界の陸域平均と比較しても上昇率が高い理由は、北半球の中緯度に位置し、陸地の割合が大きいことが挙げられます。特に1990年代以降に記録的な高温年が集中しており、2024年は統計開始(1898年)以来の最高値を記録しました。

「降らないときは降らず、降るときに激しく降る」

年間降水量には長期的な変化傾向が見られない一方で、1時間80mm以上の大雨は約40年間で約1.7倍に増加しています。より強い雨ほど増加率が大きく、日降水量400mm以上の大雨は約2.1倍に増えました。同時に無降水日も増加しており、降水パターンが極端化しています。この傾向は今後さらに強まると予測されています。

日本近海の海面水温は世界の2倍のペースで上昇

日本近海の海面水温は100年あたり+1.33℃で上昇しており、世界平均(+0.62℃/100年)の2倍以上です。黒潮の影響や陸地からの熱輸送が要因とされています。海面水温の上昇は台風の強化や大雨の激化にも関連し、沿岸生態系への影響も懸念されています。

将来予測 — シナリオ次第で大きな分岐

温室効果ガスの排出抑制が進む2℃上昇シナリオと、現状のペースが続く4℃上昇シナリオでは、21世紀末の影響に大きな差が生じます。4℃シナリオでは猛暑日が全国平均で約18日増加し、工業化以前に100年に1回だった極端な高温がほぼ毎年発生すると予測されています。排出削減の規模が将来の気候を左右することを、数値が明確に示しています。

出典

当サイトの記事は公開データ・統計・レポートをもとに要約・解説したものであり、内容の正確性・完全性を保証するものではありません。正式な情報は各出典元をご確認ください。