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経済

日銀短観 — 企業の景況感

最終更新: 2026年3月16日

日本銀行が四半期ごとに公表する短観(全国企業短期経済観測調査)をもとに、業況判断DIや設備投資計画など企業マインドの動向を解説します。

日本銀行が四半期ごとに公表する「短観(全国企業短期経済観測調査)」の最新データを要約します。この記事では、2025年12月調査(2025年12月15日公表)をもとに、企業の景況感と経営環境を解説します。

目次

短観とは

短観(たんかん)は、日本銀行が全国約9,000社の企業を対象に四半期ごとに実施する「全国企業短期経済観測調査」の略称です。企業の業況感や設備投資計画、雇用状況などを調査しており、日本経済の現状と先行きを把握するうえで最も注目される経済指標の一つです。

中心的な指標である業況判断DIは、業況が「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いた値(%ポイント)です。プラスであれば景況感が良好、マイナスであれば悪化していることを示します。

  • 調査時期 — 3月・6月・9月・12月の年4回
  • 公表時期 — 調査月の翌月初め頃(12月調査のみ当月中旬)
  • 調査対象 — 全国約9,000社(大企業・中堅企業・中小企業)

要点

  • 大企業製造業の業況判断DIは +15 で3期連続の改善。AI関連需要や自動車産業の回復が寄与
  • 大企業非製造業は +34 と高水準を維持。インバウンド需要やサービス業の好調が継続
  • 先行きは非製造業が +28 に低下する見通しで、トランプ関税など外部環境への警戒感が表れている
  • 雇用人員判断DIは全規模全産業で -38 と深刻な人手不足が続き、先行きは -41 と過去最大の不足見通し
  • 大企業の設備投資計画は前年度比 +12.6% と堅調。製造業は +17.5% と積極的な投資姿勢

業況判断DIの推移

大企業の業況判断DI(「良い」−「悪い」、%ポイント)の推移です。製造業はコロナ禍からの回復後に安定推移、非製造業は一貫して上昇基調にあります。

直近8四半期の推移(大企業)

調査時期 製造業 非製造業
2024年3月 +11 +34
2024年6月 +13 +33
2024年9月 +13 +34
2024年12月 +14 +33
2025年3月 +12 +35
2025年6月 +13 +34
2025年9月 +14 +34
2025年12月 +15 +34

主要数値

業況判断DI(2025年12月調査)

区分 最近 先行き 前回(9月)
大企業・製造業 +15 +15 +14
大企業・非製造業 +34 +28 +34
中堅企業・製造業 +16 +10 +12
中堅企業・非製造業 +25 +18 +24
中小企業・製造業 +6 +2 +1
中小企業・非製造業 +15 +10 +14

設備投資計画(2025年度、前年度比)

区分 計画
全規模合計(含む土地投資) +8.9%
大企業合計 +12.6%
大企業・製造業 +17.5%
大企業・非製造業 +6.0%

雇用人員判断DI(2025年12月調査)

「過剰」−「不足」の%ポイント。マイナスが大きいほど人手不足が深刻。

区分 最近 先行き
大企業 -28
中堅企業 -39
中小企業 -40
全規模合計 -38 -41

その他の主要指標(2025年12月調査)

指標 数値
想定為替レート(2025年度) 1ドル = 147.06円
大企業・販売価格判断DI +25
大企業・仕入価格判断DI +40
大企業・資金繰り判断DI +13(楽超)
大企業製造業・経常利益(前年度比) -7.8%
調査対象企業数 8,836社
回答率 99.4%

解説

製造業は3期連続改善

大企業製造業の業況判断DIは+15と、前回の+14から1ポイント改善し、3期連続の上昇となりました。AI関連の半導体需要が引き続き好調なほか、自動車産業の生産回復が寄与しています。中小企業製造業も+6と前回の+1から5ポイント改善し、6年9ヶ月ぶりの水準まで回復しました。

非製造業は高水準を維持

大企業非製造業は+34と、2024年3月調査以降+33〜+35の狭い範囲で推移しており、バブル期以降の最高水準圏にあります。インバウンド需要の拡大やサービス業の好調が景況感を支えています。

先行きには慎重姿勢

ほぼすべての区分で先行きDIが「最近」を下回っています。特に大企業非製造業は+34から+28へ6ポイントの低下が見込まれており、トランプ関税をめぐる不確実性や海外経済の減速への警戒感が反映されています。

深刻化する人手不足

雇用人員判断DIは全規模全産業で-38と、企業の人手不足感が極めて強い状態が続いています。先行きは-41と過去最大のマイナス幅になる見通しで、構造的な労働力不足が企業経営の主要課題となっています。

設備投資は堅調

大企業の設備投資計画は前年度比+12.6%と積極的な投資姿勢が続いています。特に製造業は+17.5%と高い伸びを示しており、DX・AI関連投資やサプライチェーン強化に向けた投資が活発です。一方、大企業製造業の経常利益は前年度比-7.8%と減益予想であり、円安による原材料コスト増や関税リスクが利益を圧迫しています。

出典

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