厚生労働省が公表する「人口動態統計」の2024年(令和6年)確定数をもとに、日本の出生数と合計特殊出生率(TFR)の推移を解説します。
目次
人口動態統計とは
人口動態統計は、出生・死亡・婚姻・離婚・死産の届出をもとに厚生労働省が作成する基幹統計です。毎年の確定数は翌年9月頃に公表されます。出生に関する主要指標は以下の通りです。
- 出生数 — 1年間に生まれた子どもの数
- 出生率(人口千対) — 人口1,000人あたりの出生数
- 合計特殊出生率(TFR) — 1人の女性が生涯に産むと仮定した場合の子どもの数(15〜49歳の年齢別出生率の合計)
要点
- 2024年の出生数は 68万6,173人 で、明治32年の調査開始以来 過去最少 を更新
- 合計特殊出生率は 1.15 で 過去最低(人口置換水準2.07を大きく下回る)
- 出生数は2016年に初めて100万人を割り、わずか8年で約30万人減少
- 都道府県別TFRは 沖縄県(1.54) が最高、東京都(0.96) が最低で初めて1.0を下回った
- 自然減(出生数−死亡数)は △91万9,205人 で過去最大
出生数の推移
2024年の出生数は68万6,173人で、前年(72万7,288人)から4万1,115人減少しました。出生率(人口千対)は5.7で、前年の6.0より低下しています。
| 年 | 出生数(人) | 前年比(人) | 出生率(人口千対) |
|---|---|---|---|
| 2015年 | 1,005,721 | — | 8.0 |
| 2016年 | 977,242 | ▲28,479 | 7.8 |
| 2017年 | 946,146 | ▲31,096 | 7.6 |
| 2018年 | 918,400 | ▲27,746 | 7.4 |
| 2019年 | 865,239 | ▲53,161 | 7.0 |
| 2020年 | 840,835 | ▲24,404 | 6.8 |
| 2021年 | 811,622 | ▲29,213 | 6.6 |
| 2022年 | 770,759 | ▲40,863 | 6.3 |
| 2023年 | 727,288 | ▲43,471 | 6.0 |
| 2024年 | 686,173 | ▲41,115 | 5.7 |
※ 2024年は確定数、2023年以前も確定数に基づく
合計特殊出生率の推移
2024年の合計特殊出生率(TFR)は1.15で、前年の1.20から0.05ポイント低下し、過去最低を更新しました。
| 年 | 合計特殊出生率 | 前回比 |
|---|---|---|
| 1985年 | 1.76 | — |
| 1990年 | 1.54 | ▲0.22 |
| 1995年 | 1.42 | ▲0.12 |
| 2000年 | 1.36 | ▲0.06 |
| 2005年 | 1.26 | ▲0.10 |
| 2010年 | 1.39 | +0.13 |
| 2015年 | 1.45 | +0.06 |
| 2020年 | 1.33 | ▲0.12 |
| 2022年 | 1.26 | ▲0.07 |
| 2023年 | 1.20 | ▲0.06 |
| 2024年 | 1.15 | ▲0.05 |
※ 人口置換水準(人口が長期的に維持される水準)は約2.07
都道府県別の合計特殊出生率
2024年の合計特殊出生率を都道府県別にみると、最高は沖縄県の1.54、最低は東京都の0.96で、東京都は初めて1.0を下回りました。すべての都道府県で前年より低下しています。
上位5都道府県
| 順位 | 都道府県 | 2024年 | 2023年 |
|---|---|---|---|
| 1 | 沖縄県 | 1.54 | 1.60 |
| 2 | 福井県 | 1.46 | 1.46 |
| 3 | 鳥取県 | 1.43 | 1.44 |
| 3 | 島根県 | 1.43 | 1.46 |
| 3 | 宮崎県 | 1.43 | 1.49 |
下位5都道府県
| 順位 | 都道府県 | 2024年 | 2023年 |
|---|---|---|---|
| 47 | 東京都 | 0.96 | 0.99 |
| 46 | 宮城県 | 1.00 | 1.07 |
| 45 | 北海道 | 1.01 | 1.06 |
| 44 | 秋田県 | 1.04 | 1.10 |
| 43 | 京都府 | 1.05 | 1.11 |
母の年齢別にみた出生の変化
母の年齢(5歳階級)別にみると、2024年は全ての年齢階級で前年より出生数が減少しています。30〜34歳が最も多く25万3,444人で、全体の37%を占めます。
| 母の年齢 | 2024年(人) | 2023年(人) | 増減(人) |
|---|---|---|---|
| 19歳以下 | 4,258 | 4,352 | ▲94 |
| 20〜24歳 | 42,757 | 47,195 | ▲4,438 |
| 25〜29歳 | 177,838 | 189,338 | ▲11,500 |
| 30〜34歳 | 253,444 | 265,109 | ▲11,665 |
| 35〜39歳 | 162,659 | 173,523 | ▲10,864 |
| 40〜44歳 | 43,471 | 46,020 | ▲2,549 |
| 45歳以上 | 1,734 | 1,745 | ▲11 |
第1子出生時の母の平均年齢は 31.0歳 で、前年と同年齢です(1975年は25.7歳)。
出生順位別の合計特殊出生率(内訳)
| 出生順位 | 2024年 | 2023年 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 第1子 | 0.5459 | 0.5677 | ▲0.0218 |
| 第2子 | 0.4137 | 0.4372 | ▲0.0234 |
| 第3子以上 | 0.1879 | 0.1963 | ▲0.0085 |
| 合計 | 1.15 | 1.20 | ▲0.05 |
解説
過去最少の出生数を更新
2024年の出生数は68万6,173人で、明治32年(1899年)の調査開始以来、過去最少を更新しました。第1次ベビーブーム期(1949年)の約270万人と比較すると、75年間で約4分の1にまで減少しています。2016年に初めて100万人を割って以降、わずか8年で約30万人もの減少が進んでいます。
合計特殊出生率の長期的低下
合計特殊出生率は2005年の1.26を底に2015年の1.45まで回復しましたが、2016年以降は再び低下傾向に入り、2024年は1.15と過去最低を更新しました。年齢階級別にみると、44歳以下のすべての階級で前年より低下しています。特に25〜29歳(0.3064)と30〜34歳(0.4369)の低下が大きく、出産の中心世代での出生率低下が全体を押し下げています。
東京都のTFRが初めて1.0未満に
都道府県別では、東京都の合計特殊出生率が0.96と初めて1.0を下回りました。大都市圏ほどTFRが低い傾向が続いており、宮城県(1.00)や北海道(1.01)も1.0前後にとどまっています。一方、沖縄県(1.54)や福井県(1.46)など地方圏では相対的に高い水準を維持していますが、全都道府県で前年を下回りました。
晩産化の定着
第1子出生時の母の平均年齢は31.0歳で、1975年の25.7歳から約5歳上昇しました。出産年齢の上昇は、出産可能期間の短縮を通じて出生数の減少要因となっています。30〜34歳の出生数が最も多い構造は変わっていませんが、この年齢階級でも出生数は減少傾向にあります。
自然減の過去最大を更新
出生数(68万6,173人)と死亡数(160万5,378人)の差である自然増減数は△91万9,205人で、過去最大の減少幅となりました。18年連続の自然減少であり、出生数の減少と高齢化による死亡数の増加が同時に進行しています。