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AI利活用の動向 — 日本企業・個人のAI導入状況と国際比較

最終更新: 2026年4月10日

総務省「令和7年版情報通信白書」をもとに、日本の企業・個人における生成AI利用の現状を日米独中との国際比較で解説します。急増する利用率の一方で広がる内外の格差を分析します。

総務省が2025年7月に公表した「令和7年版 情報通信白書」のデータをもとに、日本における企業・個人の生成AI利活用の現状を要約します。日本・米国・ドイツ・中国4か国を対象とした調査結果に基づき、国際比較で日本の位置づけを整理します。

目次

要点

  • 日本の個人の生成AI利用経験率は 26.7%。前回調査から約3倍に増加したが、中国(81.2%)・米国(68.8%)・ドイツ(59.2%)と比較して依然として大きな差がある
  • 企業の生成AI利用率でも日本は 55.2% にとどまり、中国・米国・ドイツの3か国はいずれも 9割超 と水準が大きく異なる
  • 生成AI活用方針を策定している日本企業は 49.7%(2024年度)。前年度の42.7%から上昇しているが、国際比較では低位
  • 年代別の利用率は20代が44.7%と最も高く、60代の15.5%まで年齢が上がるほど低下する傾向
  • 利用しない理由は「生活や業務に必要ない」が4割超で最多、次いで「使い方がわからない」が4割近くを占める

個人の生成AI利用率

令和7年版情報通信白書によると、日本の個人の生成AI利用経験率は 26.7% でした。前回調査から約3倍に増加したものの、国際比較では依然として大きな差があります。

年代別の利用率(日本)

日本国内の年代別では、若年層ほど利用率が高い傾向が明確に出ています。

年代 生成AI利用率
20代 44.7%
30代 23.8%
40代 29.6%
50代 19.9%
60代 15.5%

20代が最も高く、60代は最も低い水準です。ただし30代が40代を下回るなど、単純な年齢順には並んでいません。

企業の生成AI利用率

企業レベルの生成AI利用率についても、4か国の差は個人の場合と同様に顕著です。

企業の生成AI利用率
日本 55.2%
中国 95.8%
米国 90.6%
ドイツ 90.3%

中国・米国・ドイツの3か国はいずれも9割を超え、企業での利用が一般化しています。一方、日本は半数強にとどまり、約35〜40ポイントの差があります。

生成AI活用方針の策定状況

生成AIを「積極的に活用する方針」または「活用を検討する方針」と回答した日本企業の割合は、2024年度調査で 49.7% でした。

前年度(42.7%)から7ポイント上昇しており、方針策定の動きは進展しています。ただし、他の3か国と比較すると依然として低い水準にとどまっています。

導入の課題と利用しない理由

企業の導入課題

日本企業が生成AI導入に際して挙げる懸念事項は、以下が上位を占めています。

  • 効果的な活用方法がわからない(最多)
  • 社内情報の漏えい等のセキュリティリスク
  • ランニングコストがかかる
  • 初期コストがかかる

「具体的な応用方法がわからない」という回答が最多で、利用イメージが形成されていないことが導入の障壁になっています。

個人が利用しない理由

個人調査では、生成AIを利用しない理由として以下が多く挙げられています。

  • 「生活や業務に必要ない」:4割超(最多)
  • 「使い方がわからない」:4割近く

必要性を感じないという認識と、使い方の不明さが主な障壁です。

解説

急増する利用率と残る国際差

日本の個人の生成AI利用率は前回調査から約3倍に増加しており、生成AIの普及が急速に進んでいることを示しています。しかし、中国(81.2%)・米国(68.8%)・ドイツ(59.2%)との差は縮まらず、むしろ水準としては大きな開きが残っています。企業レベルでは4か国中、日本のみが5割台にとどまり、他の3か国が9割超という状況です。

企業と個人で共通する「活用方法がわからない」という壁

企業の導入障壁の最上位、個人の不使用理由の上位に共通して「使い方・活用方法がわからない」という回答が現れています。ツールの存在は認知されているものの、実際の業務・生活にどう結びつけるかという具体的なイメージが不足している状況が浮かび上がります。

方針策定は進むが実装が追いつかない

企業の活用方針策定率は2023年度の42.7%から2024年度の49.7%へと上昇しており、経営層レベルでの検討は進んでいます。一方で、実際の利用率(55.2%)との差や、国際水準との乖離からは、方針策定から実装・定着までに距離があることがうかがえます。

世代間のデジタル格差

個人利用率は20代(44.7%)と60代(15.5%)で約3倍の差があります。業務での利用拡大には、中高年層への活用支援や教育環境の整備が課題となります。

主要数値

個人の生成AI利用経験率(国別)

利用経験率
日本 26.7%
ドイツ 59.2%
米国 68.8%
中国 81.2%

企業の生成AI利用率(国別)

利用率
日本 55.2%
ドイツ 90.3%
米国 90.6%
中国 95.8%

日本企業の生成AI活用方針策定率(推移)

調査年度 策定率
2023年度 42.7%
2024年度 49.7%

日本の個人の年代別生成AI利用率

年代 利用率
20代 44.7%
30代 23.8%
40代 29.6%
50代 19.9%
60代 15.5%

調査: 総務省「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」/ 公表: 2025年7月

出典

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