観光庁が公表する旅行・観光消費動向調査の最新データを要約します。この記事では、2025年年間値(速報)をもとに、日本人の国内旅行消費額の動向を解説します。
目次
旅行・観光消費動向調査とは
旅行・観光消費動向調査は、観光庁が四半期ごとに公表する統計調査です。日本人の国内旅行・海外旅行における消費実態を把握するため、全国の世帯を対象にアンケートを実施し、旅行消費額を推計しています。
主な指標は以下の通りです。
- 国内旅行消費額 — 日本人が国内旅行で支出した金額の合計
- 国内延べ旅行者数 — 宿泊旅行・日帰り旅行の延べ人数
- 旅行単価 — 旅行者1人1回あたりの平均支出額
要点
- 2025年の日本人国内旅行消費額は 26兆7,746億円 で 過去最高 を更新(前年比+6.4%)
- 2019年(21兆9,312億円)と比較して 約22%増 の水準に到達
- 旅行単価は 4万8,359円 で過去最高を更新(前年比+3.8%)
- 宿泊旅行消費額が 21兆7,153億円 で全体の 81.1% を占める
- 延べ旅行者数は 5億5,366万人(前年比+2.5%)で、コロナ前の水準には未回復
年間旅行消費額の推移
2019年以降の日本人国内旅行消費額(億円)の推移です。2020〜2021年はコロナ禍で大幅に減少しましたが、2022年以降は急回復し、2023年にコロナ前水準を回復、2025年に過去最高を更新しました。
| 年 | 消費額(億円) | 前年比 | 2019年比 |
|---|---|---|---|
| 2019年 | 219,312 | — | 基準年 |
| 2020年 | 98,982 | ▲54.9% | ▲54.9% |
| 2021年 | 91,835 | ▲7.2% | ▲58.1% |
| 2022年 | 171,929 | +87.2% | ▲21.6% |
| 2023年 | 219,101 | +27.4% | ▲0.1% |
| 2024年 | 251,536 | +14.8% | +14.7% |
| 2025年 | 267,746 | +6.4% | +22.1% |
宿泊旅行と日帰り旅行の内訳
2025年年間値(速報)
| 区分 | 消費額(億円) | 構成比 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 宿泊旅行 | 217,153 | 81.1% | +6.8% |
| 日帰り旅行 | 50,593 | 18.9% | +4.9% |
| 合計 | 267,746 | 100% | +6.4% |
宿泊・日帰り旅行消費額の推移
| 年 | 宿泊旅行(億円) | 日帰り旅行(億円) | 宿泊比率 |
|---|---|---|---|
| 2019年 | 171,560 | 47,752 | 78.2% |
| 2020年 | 77,394 | 21,588 | 78.2% |
| 2024年 | 203,325 | 48,211 | 80.8% |
| 2025年 | 217,153 | 50,593 | 81.1% |
宿泊旅行の構成比は2019年の78.2%から2025年には81.1%に上昇しており、宿泊旅行への支出集中が進んでいます。
旅行者数の推移
2025年の旅行者数
| 区分 | 延べ旅行者数(万人) | 前年比 |
|---|---|---|
| 宿泊旅行 | 30,046 | +2.5% |
| 日帰り旅行 | 25,320 | +2.6% |
| 合計 | 55,366 | +2.5% |
2019年の延べ旅行者数は約5億8,710万人でした。2025年は5億5,366万人で、コロナ前の水準には 約5.7%及ばない 状況です。旅行者数の回復は消費額の回復に比べて遅れています。
旅行単価の推移
2025年の旅行単価
| 区分 | 旅行単価(円) | 前年比 |
|---|---|---|
| 全体 | 48,359 | +3.8% |
| 宿泊旅行 | 72,273 | +4.2% |
| 日帰り旅行 | 19,982 | +2.3% |
旅行単価の推移
旅行単価は2019年の3万7,355円から2025年には4万8,359円へと 約29%上昇 しています。特に宿泊旅行の単価上昇が顕著で、2019年の5万5,054円から7万2,273円へと 約31%上昇 しました。
四半期別推移(2025年)
2025年の四半期別推移です。7-9月期が最も消費額が大きく、夏の旅行シーズンの影響が見られます。
| 四半期 | 消費額(億円) | 前年同期比 | 旅行者数(万人) | 旅行単価(円) |
|---|---|---|---|---|
| 1-3月期 | 56,483 | +15.5% | — | — |
| 4-6月期 | 67,453 | +5.3% | — | — |
| 7-9月期 | 80,536 | +9.0% | 16,136 | — |
| 10-12月期 | 63,022 | ▲2.6% | 12,757 | 49,402 |
- 1-3月期は前年同期比+15.5%と大きく伸長
- 7-9月期は8兆円超と四半期として過去最高水準
- 10-12月期は前年同期比▲2.6%と唯一の減少
解説
26.8兆円で過去最高を更新
2025年の日本人国内旅行消費額は26兆7,746億円となり、前年(25兆1,536億円)を6.4%上回って過去最高を更新しました。コロナ前の2019年(21兆9,312億円)と比較すると22.1%増で、国内旅行市場はコロナ禍の落ち込みから完全に回復し、さらに成長段階に入っています。
旅行単価の上昇が消費額をけん引
消費額の増加要因を分解すると、旅行者数の増加(+2.5%)に対し、旅行単価の上昇(+3.8%)がより大きく寄与しています。宿泊旅行の単価は7万2,273円で、2019年の5万5,054円から約31%上昇しました。宿泊施設の価格上昇や、より高価格帯の宿泊施設の利用増加が背景にあると考えられます。
旅行者数はコロナ前に未回復
延べ旅行者数は5億5,366万人で、2019年の約5億8,710万人には届いていません。消費額が過去最高となったのは、旅行者数の増加よりも単価上昇の影響が大きいためです。人口減少や少子高齢化の影響もあり、今後の旅行者数の動向が注目されます。
宿泊旅行への支出集中
宿泊旅行の構成比は81.1%で、2019年の78.2%から上昇しています。宿泊旅行の単価上昇が日帰り旅行を上回っており、より長く滞在し、より多く消費する旅行スタイルへの変化がうかがえます。
10-12月期の減少
2025年10-12月期は前年同期比▲2.6%と、唯一前年を下回りました。宿泊旅行消費額が▲3.5%と落ち込んだ一方、日帰り旅行消費額は+1.5%と増加しています。前年同期の反動やインフルエンザ等の影響が指摘されていますが、年間では堅調な推移となっています。